海外ボランティア活動・CECジャパンネットワーク

参加者の声

常に住居者の方と話をしてできる限り楽しんでもらうということ

【 参加されたプログラム 】:イギリス施設ボランティア

【 参加しようと思ったきっかけは? 】:
高専で5年間、ビジネスと英語を勉強してその最後の仕上げとして英会話力を磨きたかった理由が主な理由で、他には大学では勉強できないことを障害者施設でのボランティアを通して学びたかったため。

【 参加期間中に楽しかったこと、思い出に残るエピソードなどなんでもお書きください。 】:
たくさんエピソードがありすぎてしっかり覚えていませんが、覚えている限り書きたいと思います。

(ウェールズ)
 僕がウェールズの施設に到着した夜にはオランダからの学生2人と日本人のボランティアの方がいました。日本人のボランティアの方が丁寧に分からないことを教えてくれたので、直ぐに活動に慣れることができました。活動中はそれぞれの住居者が何かやりたいことがあったら、それを優先してやります。だいたい毎回同じ住居者の方に頼まれて、他のことに手が回らなかったという時もあります。活動内容自体は、これといった決まった活動はありませんでした。
飲み物を作って渡すという作業は欠かさず行っていました。それぞれの住居者に合わせて、活動を考えていました。例えば、チェスをやる人もいれば、メールをパソコンで書きたい人もいれば、ただ世間話をする人もいました。

ケアラーの人たちはとても忙しかったで、入所者の話し相手になることもボランティアの大切な役割だと思いました。
また、日本の行事も住居者の方々と楽しみました。習字、節分、ひな祭りなどです。
活動中で大変だったことは数えきれません!一番大変だったことは、タバコの本数管理でした。
看護婦にそれを決める権利はないと言われました。毎日、板挟みの状態でした。その住居者は脳に障害があったため、ほんの数秒で気分が変わってしまう場合がありました。気分が上がらないときはタバコを10分おきに求めてきたりして、タバコから気をそらすためにそれ以外の話したりするなど、努力しました。話の途中で寝てしまう場合がよくありました笑。

他には、すごく物音に敏感で少し大きい音を立てると叫ぶ住居者がいました。そして、その他の住居者が廊下を通る時に叫びながら通るため、毎回ドアを閉めたり、なるべく大きな音を立てないような努力をしました。
 
 僕が活動中に第一に考えたことは、常に住居者の方と話をしてできる限り楽しんでもらうということです。住居者の中にはケアホームに入居後、生涯そこで暮らす方々が多いです。1日中、住居者にとってホーム内で過ごすことは決して面白いとは言えません。ケアラーは忙しく、そこで頼りになるのがボランティアの人たちです。これが障害者施設での大切な役割だと、ふと活動中に思いました。住居者の方々も日頃思うことが沢山あるので、聞いてもらえればそれだけで嬉しいと思います。時にはケアラーの文句、家族のこと、僕の大学のこと、食事のこと、などと本当に話題は色々とありました。

 ウェールズの施設では、活動より活動後の方が面白かったです。活動が終わってからは頻繁といっていいほどオランダの友達と映画を一緒に見ました。強制的に呼ばれて、観たときもありました笑とにかく、オランダの学生は気が強く、最初は抵抗がありましたが、徐々にオランダの文化はこういう感じなのかと理解していき、仲良くなりました。僕が日本へ帰る1ヶ月前にこのオランダ人の友達の家に遊びにも行きました。

ある住居者の方(リハビリで入居)が夜遅くまで起きていたので、自分も夜型ということもあり、お茶を片手に毎晩何時間も話していました。活動中に嫌なことがあっても、活動後にこういうことがあってなどと色々と聞いてもらい、時には励みにもなりました。もちろん、イギリスの文化も教えてもらいました。

しかし、ウェールズで働き始めて半年後に誰もが予想しなかった心臓発作で亡くなってしまいました。しばらくは、前向きにはなれず、ちょうどその時にオランダからの学生2人(2回目に来た学生)が同じフロアに住んでいて夜はすごくうるさく、気が参りそうになりました。色々と考えた結果、旅で憂鬱な気分を吹き飛ばそうと、有給休暇を使ってモロッコを2週間旅しました。モロッコでは色々と危ない目にもあいましたが、2週間後には随分と気分が楽になりました。

(イングランド)
 ウェールズで7ヶ月目を迎えたあたりに、諸事情でボランティアコーディネーターに相談して他の施設を探してもらい、イングランドの施設に移りました。ウェールズでは、自分のできることはしっかりやったので悔いはありませんでしたが、7ヶ月過ごした部屋、仲の良かったスタッフ、バドミントン仲間を残して去るのはとても悲しかったです。イングランドでの2ヶ月半はあっという間でした。それほど、充実していた証拠だと思っています。そこで一緒に活動した人はオーストラリアからの学生で、住み込みのボランティアでした。こちらの施設は、ボランティア80人、そのうち運転手は10人とウェールズの施設とは規模が全くと言っていいほど違い、活動内容については午前中はどこかに行き、午後は住居者の部屋の片付、台所での皿洗い、イベントの手伝いをしました。アクティビティルームで1日を過ごすより、違った場所で違ったことをする方が楽しかったです。もう少し長くこちらの施設で活動できればといつも思っていました。雰囲気もこちらの方が良く、気さくなスタッフが多く働いていた感じがしました。

この1年間で、僕が学んだことの中で一番大事だと思ったことはどんな仕事をするにしても、仕事中は「仕事は仕事」と割り切ることです。
実際、住居者数人に、その人のためにやってあげたことに対して不満を言われ、怒られたりしました。最初の頃は、自分も反抗しようとしましたが、徐々に仕事中は割り切ろうと思うようになりました。ボランティアで少しのお金をもらっている限り、働いていることと同じです。

また、どのような職種でも自分を楽しませるような方法を見つけることが、大切だとも思いました。
障害者施設で働くことに対して、面白いと思うかと質問されたとしたら多数が思わないと答えると思います。僕も、出国前はこのような考え方でした。しかし、実際に働いてみて、何でもいいので楽しいと思えることを見つければ、やる気にもつながります。
僕の場合は、ある住居者の方、キッチンスタッフの人、トレーニングスタッフと話すことで、1日1日をやり過ごしてきました。たまに、話しすぎたこともありました。
 ボランティアをするにあたって、最初の頃から決めていたことがありました。やらされた気持ちではなく、自分から進んでボランティアをすることです。相手に貢献した分、自分にも何か返ってくると信じて、活動をしました。対話力、英語力、仕事に対する考え方など勉強になりました。

【 今後参加される方へのアドバイスをお願いします。 】:
僕は高専から大学3年生に編入して、編入後このプログラムに参加するか真剣に悩みました。
イギリスでの1年間は、今までの人生で学べなかったことを学ぶことができたので学生の意見ですが、悩んでいるのであれば学生の間にこのプログラムに参加してみてもいいと思います。
日本では大学で1年遅れて卒業するのが嫌で、海外に行くのを諦めてしまう人がいると思いますが、これは本当にもったいないと思います。大学で1年間勉強した事とイギリスでのこのような経験を比べてみると明らかに僕は後者の方が価値があり、今後の生活に活きると思います。
もちろん、自分は学生なので親の援助がなければイギリスでこのような経験ができなかったので、親には感謝しています。
オーストラリアからイギリスにこのような経験をするために来た友達もいます。イギリスでは最初の頃は苦労の連続で大変でしたが、苦労した分だけ今後の人生についての考え方が楽になると思います。まだ22歳の大学生で、社会の大変さを経験していませんが、個人的にこのように感じました。

他のレポートで以前、読んだことがありましたが本当に英語ができればその分、
活動を楽しめると思います。出国までにできるだけ英語力を磨いておくことをオススメします。
文法を一通り勉強して、イギリスではネイティブが話す言い回しをドンドン覚えていけば英語が上手くなると感じました。昔使っていた自分の言い回しと現在とを比べてみると、イギリスでは同じ意味でも簡単な単語で表すことができる言い回しをたくさん教えてもらいました。
分からなければたくさん質問すれば、色々と施設の方々は教えてくれます!