参加者レポート
バリ 日本語学校でボランティア
コロナ禍後、はじめてバリの日本語学校に行ってくださった方からのレポートです!
■参加期間中に印象に残ったこと
・現地の人々の様子
とてもあたたかく、素朴な人が多い印象でした。観光地なだけあって、店員さんやドライバーさんは英語が堪能でした。たまに日本語が話せる方もいました。路上で物を売りつけてくる人もいましたが、そこまでしつこくありませんでした。ハノマン通り周辺で買い物をした時は、そこまでぐいぐいくる店員さんはいませんでしたが、ゴアガジャやタナロット等、観光名所周辺のお土産路面店の皆さんはとても積極的に声をかけてきます。
・食べ物について
料理はどれもとてもおいしかったです。辛いものもありますが、事前に店員さんにお願いすれば調節ができます。
観光客向けのカフェやレストランは高かったですが、屋台や食堂は安かったです。日本ではあまり目にしないトロピカルフルーツをたくさん食べました。
メニューは英語表記なので、頑張って読んだり、翻訳機をかざしたり、店員さんに聞いたりしながら注文しました。
一度、コンビニ横のワゴンで売っている揚げ豆腐でお腹を下してしまいました。香辛料か油か、何かが合わなかったようです。
レストランやカフェは基本的に大丈夫でしたが、安価なお店はその分用心しないといけないなと思いました。
フードデリバリーも利用しましたが、とてもおいしかったです。
お箸やフォークが付いていなかったので、ゲストハウスのオーナーさんに借りました。
・乗り物について
移動は基本的にGrab というアプリの配送サービスを利用しました。現在地と目的地を入力して、車かバイクを手配します。
似ているGojekというアプリもあります。少し手間がかかりますが、クレジットカードを登録すれば毎回の支払いが簡単に済むので、とても便利でした。
フードデリバリーも2回ほど利用しました。バリには電車がありませんでした。
バスはありますが、細い道が多いところでは圧倒的にバイクタクシーが便利ですし、地元の人もあまりバスは利用しないようです。バイクタクシーは料金が安く、早く捕まえることができました。
また、とにかく交通量が多く道が混んでいるので、脇道を通るバイクの方が車より所要時間が短く済むことがよくあります。雨が降った時は、レインコートを着ていても濡れました。車はバイクよりは料金が高いですが、雨でも落ち着いて移動ができ、ドライバーの方ともたくさん話すことができます。長時間の移動は車を手配しました。
また、Bluebirdというタクシー会社も一度利用しました。Grabよりさらに料金が高かったですが、よく道を知っているドライバーさんが渋滞を避けるように臨機応変にルートを変更してくださったり、観光の際は写真を撮ってくださったりと、とても良いサービスを受けたという印象があります。
他には、道端で声をかけてくださったドライバーさん(おそらく観光案内をやっている方)のバイクも利用しました。
「〇〇が見たい」「〇〇が食べたい」というといくつか候補を出してくださるような、土地をよく知っている方でしたが、接客があまりよくありませんでした(身体を触られたりしました)。
Grabなどのアプリを使うと、ドライバーさんの名前や評価を事前に見ることができるので、その点安心だなと思いました。
・日本語学校について
ウブド校は現在1クラスで15人ほどの生徒が通っています。高校生がほとんどですが、社会人の生徒もいました。まだ日本語の勉強を始めて間もないので、基本的な文法事項や教科書的な表現を中心に学習していました。
17:00~20:50まで、4時限の授業を週に5日間行っています。
バリジャパニックの制服があり、何曜日はこの格好、と決まっているようです。
私は、聴解問題の読み上げを行なったり、会話練習の相手役をしたり、漢字学習の際に手本を書いたりして、授業のお手伝いをさせていただきました。
5日間という短い期間ではありましたが、活動の終盤には生徒から話しかけてくれることも増え、ある程度の関係性が構築できたのではないかなと思います。
デンパサール校はクラス数が多く、先生もたくさんいらっしゃいました。生徒がエネルギッシュで、質問もよく手が上がり、クラスの雰囲気がとても明るいなという印象を受けました。
2校での活動を通して、生徒の様子は日本とあまり変わらないと感じました。積極的な子もいれば、なかなか手を挙げない子もいて、学力もかなりばらつきがありました。
また、授業内で「日本は雪まつりが有名ですか?」と質問された時、正直わからないなと思いました。
静岡は雪が降らないし、雪まつりは聞いたことがある程度でした。でも、生徒の皆さんは日本の「冬」や「雪」にとても興味を持っていて、詳しく答えられなかったことが申し訳ないなと感じました。
他にも、生徒の皆さんが知っていて私が知らない「日本」がたくさんありました。
・観光について
ライステラス、モンキーフォレスト、ネカ美術館、ブランコ美術館、キンタマーニ高原、カルタゴサ、ゴアガジャ、コーヒーファーム、サヌールビーチ、タナロット寺院、ティルタウンプル寺院、テゲヌンガンの滝、ハノマン通り、等を回りました。観光名所は入場料が必須でした。
キンタマーニは道路の脇に料金所のようなものがあり、そこより先に進むには入場料が必要になります。寺院は生理だと入れないことがあるようです。大きな寺院は入り口でサロン(腰に巻く布)の貸し出しがありますが、小さい寺院はなかったと思います。
どこも観光客がたくさんいました。日本語のパンフレットが置いてあったり、日本語を話すガイドさんがいたりして、詳しく説明を聞くこともできました。
夜はバリ舞踊を見にいきました。ケチャダンスとレゴンダンスを見ましたが、どちらも迫力満点で面白かったです。
レゴンダンスの方は世界中で公演を行う有名な集団なだけあって、ハイレベルなパフォーマンスでした。
どちらも小さな寺院で見たので、2列目くらいで鑑賞することができました。鑑賞料は800円ほどでした。
・宿泊先について
朝ごはんは起きてからカウンターで注文するスタイルでした。どれもとても美味しかったです。
ドライヤーは元々部屋になかったので、頼んで貸してもらいました。冷房がついているので、快適に過ごせました。
バスタオルは回収等なく、2枚を交互に使って、干して、9日間使いました。バスマットも同様です。
洗濯物はオーナーさんに渡すと、クリーニングに出してくれます。1日か2日で返ってきます。たまに他の人の洗濯物が混ざっているのでよく確認します。重さで料金が決まるシステムで、私は4回くらい頼んで、毎回300円くらいでした。
バスタブはなくシャワーのみで、お湯はしっかり出ますが温度調節は難しかったです。トイレはシャワーのすぐ隣にあって、シャワー直後はびしょびしょに濡れます。脱衣所はなく、トイレのスリッパもありません。私はなんとなく履き物が欲しくなって、トイレ用のサンダルを現地で購入しました。
洗面台は時々小さなアリが大量発生します。部屋の中にも少しは虫やトカゲが入ってきます。必要に応じてオーナーさんが蚊取り線香を焚いてくれました。
トイレットペーパーを使う習慣があまりないのか、ペーパーのストックが部屋にありません。頻繁に切れるので、毎回オーナーさんに頼んで余分にペーパーをもらっていました。
・その他
連絡手段として主流なのがWhatsappというアプリでした。会う人会う人にこのアプリの連絡先を聞かれました。
電話とチャットができます。インドネシアの電話番号があれば簡単に登録ができました。
買い物については、現金をよく利用しました。ほとんどのお店でカードが使えますが、PINコードを打つのが面倒なのと、支払いの金額が小さすぎるとカードが使えないこともあったので、現金で主に支払うようになりました。現金は換金所に行ったり、コンビニのATMで引き出したりしました。
最終日、日本語学校で知り合った先生が一日車を出してくださり、一緒に行動してくれました。
やはり現地の方と一緒にいると、あらゆる受付や支払いがスムーズに済みますし、バリの歴史や文化について色々とお話を聞けたので楽しかったです。先生自身もとても優しい方で、公私共に面倒を見ていただき、本当にお世話になりました。仲良くなれて嬉しかったです。
また、ウブドはとても治安が良く、物を盗られたりすることはなかったのですが、夜は野犬が怖かったです。吠えられたり追いかけられたりしました。
■今後参加される方へのアドバイス
ティッシュですが、ゲストハウスに備え付けのものがなかったので、現地で購入しました。
持っていかなくても良いですが、部屋にはないかもしれない、と思っておいた方がいいかもしれません(リゾートホテルはあると思いますが)。
また、毎日洗濯することができなかったので、衣服用の消臭スプレーを持って行けば良かったと思いました。
雨に降られた時も靴が臭くなってしまい、困りました。
それと、持ち物ではありませんが、日本入国の際に必要なアプリを入れてから帰国した方がいいと思いました。
完全に忘れていて、結構面倒でした。
使わなかったものはマスクです。バリの人はもうほとんどマスクをしていません。
美術館やカフェでたまにマスク着用の表示を見かけましたが、実際に着用していないと入れないということはありませんでした。マスクを着用したのは飛行機内と日本国内だけでした。
心の準備としては、まず衛生面に関することがあると思います。トイレットペーパーがないトイレも多く、日本のトイレと比べると少し不衛生に感じることもあると思います。虫も至る所にいます。でも十日間で十分慣れました。また、コミュニケーションに関して、英語よりもインドネシア語をもっと準備しておけば良かったと思いました。バリの方の多くは英語を話すことができますが、かなり訛り(インドネシア語寄りの読み方)が強く、コミュニケーションがうまくいかないことが多々ありました。簡単な単語をうまく組み合わせて話すよう心がける、生活に密着した単語はインドネシア語で覚える、といった準備ができるかなと思いました。
■今回海外に行き、生活体験をして貴方自身に影響を与えましたか?
今回の活動を通して、「いつかは日本国外で働きたい」という気持ちが強くなりました。
バリジャパニックで日本語教師として働く日本人の先生に実際に会って、自分もこうして日本国外で働いてみたいと思うようになり、その自分の姿を強くイメージできるようになりました。
また、日本語教育についても多くを学ぶことができました。第二言語として日本語を教える場合はやはり母語の知識をフル活用して教えていることや、インドネシア人の先生と日本人の先生では日本語へのアプローチ法が異なっていることがわかりました。日本で日本語教育に携わっていく身として、外国の日本語教育の現場を知ることができたのはとても良い経験でした。
また、内面的な変化としては、日本人としての自分を俯瞰する視点を獲得できたのではないかと感じています。自分が圧倒的マイノリティである環境に身を置くことで、そんな視線初めて向けられた、そんな扱い初めて受けた、と感じる体験をたくさんしました。
たった十日間ではありますが、自分の中の常識がガラガラと崩れ、新しい感覚をいくつか取り入れることができ、一つ外側の視点から自分を捉え直すことができたように思います。
日本の文化やしきたりに対して新しく疑問を持つことも多く、同時に良いところを再認識することもできました。
ゲストハウスでは、ギリシャやスペインの人と話をする中で、自分もこうして交友関係を築くことができるのかとひとつ自信になりました。
今まで自分にとっての外国は単なる未知の世界でしたが、今回実際に一人で行って帰ってくることができました。
日本の外へ「行こうと思えば行ける」と思いながら今後生活していけることが、かなり大きな自分の支えになるのではないかと思っています。