参加者レポート
郷には入れば郷に従え
◆参加期間◆ 2015年8月17日 ~ 2015年8月26日まで (10日間)
◆参加の動機◆
これまでのボランティア活動の経験を生かして、現地の学校で英語の授業をすること、ホームステイを通して現地の人々の生活や文化に生に触れること、震災による被災の状態を自分の目で確かめるとともに、帰国後の現地との教育文化交流/被災地支援活動に生かすことでした。今回コーディネートしていただいたChyawanさんの話によると、震災後ネパールを訪問した日本人は、私で4人目だったと言うことです。
◆ホームステイ滞在に関して◆
家族構成: お父さん お母さん 子供2人 祖父母
ペット: 無
食事: おいしかった
◆生活形態について(日本での生活と較べて異なる点、注意点など):
朝5時半頃から1日がスタートします。 基本的には朝食は食べないのが習慣ですが、私の場合はホストマザーがわざわざ朝食を毎朝準備してくれました(6時半、モーニングセット、ミルク).夕食は、8時過ぎからで、ダルバート・タルカリ(豆のスープーダル、ご飯―バーと、おかずータルカリ、漬け物がワンプレートに盛り合わされたネパール食)が基本。ご飯にダルをかけ、右手でダルカリと混ぜ合わせて食べるのがネパール式作法です。食事後は、ホストファミリーと歓談し、9時半頃には就寝です。トイレは水洗ではありません。使用は各家庭によって違いますが、私のファミリーの場合は、「大」の時だけ水で流すようになっていましたし、トイレットペーパーを使う場合には袋に入れ、週に1回のゴミ収集の日に出すことになっていました。洗濯機がありませんので、洗剤を使って手洗いをし、天日干しをします。ネパールはこの時期、ほぼ毎日、雨が降ります。急に激しい雨が降り、20分程度で止みます。雨が降っても、家の中に取り込むことをしませんので、そのまま洗濯物は天日干し状態です)週1回各家庭に水の供給があり、それを大きなドラム缶に貯めて使いますので、台所仕事にしてもシャワーにしても選択にしても、節水を前提にした使用に努めています。毎日、数回の停電があります。停電時に電力消費を抑えた非常灯がすぐに使えるように準備されていますので、そんなに困ったことにはなりません。
感想:
「郷には入れば郷に従え」の諺通りです。できる限り、現地の人達と同じ生活をすることを心がけることが大切です。食事にしても、スプーンを使うか尋ねられましたが、ファミリーと同様の生活をしました。右手を使って食べるのにはなかなか苦労しましたが、最終的には上手く食べられるようになりました。また、右手を使って混ぜ合わせ、口に持って行き、話をし、再び右手を使って混ぜ合わせ・・・という間が、コミュニケーションの間にもつながっていくことにもなるので、何かにつけて(もちろんストレスのたまらない程度に)努力することは大切です。Guestではなく、 memberなのですから。Chyawanさんファミリーの温かい心配りに大変感謝しています。こちらの疑問にも大変丁寧に答えて下さいました。疑問に思ったことは率直に尋ねてみることは大切です。もちろん内容にもよりますし、語学力にも関わってきますが、ネパール社会のこと、政治のこと、子育てのこと、教育事業、仕事のことなど、たいへん多くのことについて教えて頂き、また意見交換もさせていただいて、改めて自分でふれ、体験する、考えることの意義を体で感じ取ることができたと思います。当初は大変不安もありましたが、日ごとにその不安も消え、ファミリーのみなさんの人柄にも触れ大変意義深い滞在となりました。
◆ボランティア活動に関して
どちらで活動されましたか:
① 授業のボランティア・・・Jyotidaya Co-operative Secondary School(9歳から15歳の子供達が通う100名程度のcommunity school)日間、20時間の英語の授業」を行う予定でしたが、最後の2日間がストライキのため休校で12時間、授業を行いました。私は9歳~13歳の子供たちのクラス、4クラスで授業をしました。日本から準備していった英語の教材(英語の詩、英語の歌、学校紹介、紙芝居など)を使って、英語で子供達と授業を行いました。現地との先生とのTTも大変有意義でした。私の場合は、2時間目(10:55-11:35)、3時間目(11:45-12:25)、4時間目(12:25-01:05)、給食、5時間目(01:45-02:25)の授業を毎日行いました。現地の子供達の学習への熱意と真剣さ、特に英語力の高さと英語教育へのたいへん関心やカリキュラムなど、実際を目の当たりにして考えることがたくさんありました。
② 被災地での支援活動・・・たいへん古い寺院遺跡のあるブンガマティは、今回の地震で大きな被害を受け、観光業を中心とした現地の経済や人々の生活に大きな打撃を与えています。現在は大型重機が入ることもなく、復旧作業は現地のボランテイァや住民達の手作業に任されています。町を一回りして、被災の状況を確かめた後、現地のボランテイァの人達に混じって、1時間程度のがれきの撤収作業に参加しました。主道路から脇道に入ると、道路は未だにがれきに埋もれたままのところが多く、生活がままならない状態です。一輪車でそのがれきを取り除き、集めたがれきは捨て場所まで捨てに行く、徒歩で何往復も何往復も際限なくくり返す作業です。私のスケジュールもあり、1時間程度の作業で終わることになりましたが、現地の人達からネパール語や英語や、中には日本語でありがとうのお礼を言われた時は、気持ちがいたたまれませんでした。「私はこれで、ここを離れてしまうけど、現地の人達はこの場所を離れることなく、この現実と向き合って1日も早く町を復興させなければならないのだから」。あらためて、帰国後の支援にしっかり取り組みたいと強く決意を固めることができました。現地の人達にはたいへん申し訳なかったですが、1時間だけでも参加させていただけたこと、うれしく思っています。
◆ホームステイ先からボランティア活動先までの交通手段は:
① Jyotidaya Co-operative Secondary School ホームステイ先から15分ほどのところにバス停があり、そこから40~50分かけて通う。バス停からは、5分程度で学校に到着する。バスの本数もあるので、心配はいりません。
② ブンガマティへはバスで1時間程度。ここもバスで往復することができます。
現地は、「時計があっても意味がない」というほど、たいへんフレキシブルな考え方が生活が成り立っています。バスの時刻表もありません。また、バス代もRs程度です。「程度」というのは、時には25,30と要求してくる場合もあります。
◆英会話or ネパール語レッスンに関して
良かった
感想:
Mr. Robinがたいへん丁寧にわかりやすく、説明してくれたので、ネパール語への興味が随分と深まりました。日本語とネパール語は語順が同じだということ、時制や主語の人称による語形変化など、わずか3にちかんだけでしたが、語学への全般的な関心を高めることができました。帰国後、何とかネパール語を話せるようになりたいと考えています。
◆持ち物に関して
日本より用意し、役に立ったものは:
懐中電灯、ティッシュペーパー、洗濯洗剤、シャンプー(ヘア・ボディー )、傘、帽子、蚊取りマット、防虫スプレー、ハンガー
◆カトマンズに関して
お勧めの観光スポット、お店、レストラン等があればお知らせ下さい:
ダルバール広場(旧王宮やたくさんの寺院に囲まれ、いつも観光客やそれをあてにしたお土産物売りでたいへん賑わっています。日本人だとわかって声をかけてくる人も何人かいましたよ)
タメル地区(ニット帽やバッグなどの民芸品だけでなく、町並みや人々の生活の様子など、たいへん興味ある地域です。)
◆カトマンズ以外の街を訪れた方は、下記の質問にお答えください
どちらに行かれましたか:
① バクタプル 世界文化遺産(ヒンズー教寺院の遺跡)コーディネーターの手配による車でカトマンズから30分程度
② ナガルコット 標高3,600メートル 天気が良ければヒマラヤ山脈が一望できる。コーディネーターの手配による車でカトマンズバクタプルから1時間程度。
③ 費用は、①+②で、日本円で2万円
感想:
①ヒンズー教寺院の遺跡群はたいへん目を見張るものがあった。町に遺跡があると言うより、遺跡の中に町があると言った方がいいほどで、宗教寺院の壮大さに圧倒された。そのバクタプルでも震災の被害は大きく、遺跡群を離れて、町を外れるとがれきを撤収されないまま放置された状態の民家も多数目についた。
② ヒマラヤ山脈を真向かいに見ることができるたいへん立地条件の良いホテルだった。早朝、2時間待って待ってして、やっと5分間あまり、日の出とその中に浮かび上がるヒマラヤ山脈の全貌をビデオに収めることができた。テレビなどでは何度も見たことがあるものの、実物が前方に見えているという実感はとてつもなく大きく、ビデオを握る手も震えたほど、絶景でした。
◆ご参加頂いた時期に関して
気候、お天気はどうでしたか:
日本の夏と同じですが、日本ほど湿度は高くありませんので、熱帯夜が続くということはありません。ほぼ、毎日のように雨が降ります。日本の夕立のようなものです。それ以外は、ほぼ良い天候に恵まれました。晴れの日は、かなり日射しはきついですので、帽子や日焼け対策は念入りにしたほうがいいと思います。
服装は:
日本の夏とかわらないぐらいです。ほぼ、同じ服装でいいと思いますが、雨が降った日の夜とか、早朝はすこし涼しくなりますので、長袖を1~2枚程度持ち合わせておいた方がいいのではないかと思います。
◆ネパールの物価に関して
ご参加時のレートは: 1ルピー=約(0,87913)円
何か購入されたものがあれば参考までお知らせ下さい:
ミネラルウォーター1L 20ルピー(約18円) お菓子 25ルピー(約20円)
◆予防接種に関して
渡航にあたり予防接種を受けましたか: はい
破傷風の予防接種を受けました / ネパール渡航に当たって、予防接種欄に「黄熱病、マラリア、コレラ」と明記されていましたが、私には摂取をすべきなのかどうかの情報は手元にありませんでしたので、判断がつきかねました。地域によって違いますが、私は近くの病院のトラベルクリニックを受診し、そこでアドバイスや情報提供をして頂き、最終的には破傷風の予防接種をしていただきました。健康管理は個人の責任ですので、個人が納得のいくまで理解した上で、受ける・受けない、その種類の決定をすべきだと思います。
◆今回のご参加を通じて、最も印象に残っていることや今後の参加者へのアドバイスなど
① ホストファミリーのみなさんの優しさにはたいへん勇気づけられました。「ご厚意」を通り越して、「献身的」に関わっていただいたという印象を強く持っています。思いやりと個人への尊重を基本に成り立っている家族のすばらしさを身にしみて感じることができました。子どもの親として、また子どもの教育に関わる仕事に就いている者の1人として、あらためて子育ての大切さや、国が違っても教育や子育てに対する親や国民の期待の大きさは決して違わないことを会話や生活を通して理解し、学ぶことができました。さらに、これまでの海外ボランティアでも感じたことですが、生活の豊かさとは何か、幸福とは何かなど、人生に関わる基本的な問いに改めて向き合うことになったことです。日本と比べれば、生活「水準」は低い、便利さで言えば不便かも知れないが、そこが生きていく上での絶対的規準になり得るのか、そこを規準にした生活に本当に確かな豊かな未来があるのかということ。私が訪れた学校で目にした光景。短い鉛筆をギュッと握りしめ、消しゴムをお互いに貸し借りしながら、ホワイトボートに目線をやりノートをとる子供たち。私が教えて英語の詩を一晩で全て覚えてしまい、教卓の前に全員が並び、一斉に声をそろえて暗唱してくれた子供達の学ぶことへの貪欲さや健気さ。その子供達が、自分たちのこれからをどう描き、学び生活しているのかについて、私の勤務する学校の子供達の表情や生活を思い出しながら、何度も考えることがありました。「国の諸事情の違い」によって「あって当然のもの」や「なくても済まされるもの」はあるかもしれません。しかし、子どもの健やかな成長と教育の保障は国の諸事情に任されるものではないことを今回の参加でも確かめることができました。EDUCATION FIRST!! です。
② 今迄のキャリア(英語教師、海外でのボランティア活動)を生かしたホームステイをしたいと考えていましたが、大変充実した10日間を終えることができました。多くの方々のご支援のおかげです。特に、CECのスタッフの方々には微に入り細に入り、懇切丁寧に対応していただきました。私の今回の参加は、数年前から考えていたことですが、昨年貴社を訪問させていただいた時の丁寧なご対応もそうですし、参加が決まってからの連絡やメールでのやりとりなど、的確なアドバイスは大変ありがたかったです。
③ 私の場合もそうですが、参加の目的をはっきりさせること、このことが何より大切です。もちろん現地での様々な諸事情によって変更を余儀なくさせられる場合もありますが(私の場合は最後の2日間がストライキのため、休校となりました)、それでもなお、充実感や達成感を得られたのはなんのために現地へ行くのか、その後、参加を通して何がしたいのかを自分なりにつかんでおくことです。
④ ネパールの人々は人柄も優しく、表情だけでコミュニケーションが成り立つぐらい素朴な国民性です。しかしどの国にもあるように、そうではなく悪意を持って日本人に近づいてくる人もいます。その見極めをしっかりし、むやみやたらに声かけに乗ったりしないようにしてほしいと思います。
性別: 男性
ご年齢: 60代以上