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バンコクのデモ現地調査
2014年1月8日
本日、バンコクの反政府デモのグループが拠点にしている「デモクラシーモニュメント」まで行ってきました。
日本の新聞には、毎日のようにデモ隊がシュプレヒコールをしているところばかりの写真がでていますが、現地コーディネーターから聞いていた感じとかなりちがったので、実際にどれくらいの規模で、どれだけシリアスな状況になっているのかを、自分の目で見たかったからです。
今朝の日本の新聞にも昨日の様子が書かれ、さも「一触即発」でバンコクが大変なことになりそうな気配を感じさせるものでした。
実際には、バンコクの生活は全く変わっていません。街には多くの観光客で溢れ、どこにいっても普段とおなじです。
唯一、このデモクラシーモニュメント付近は、反政府の人々(ほとんどの市民が実は反政府の様な口ぶりです・・・)がテントを張って、抗議を続けているために、その300メートル四方の地域だけが交通渋滞になっています。渋滞がひどいので、タクシーも行ってくれません。バスに乗っていきました。
場所は観光客が良く訪れる、有名な寺院が集まる場所の近くにあるモニュメントの広場です。沢山のひとがいて、露店がならび、食事が無料で施され、音楽がかけられ、女性のMCが何かステージで話していて、野外コンサート会場とおなじ雰囲気です。
デモクラシー(民主主義)モニュメントです。みなさん、記念写真をとっています。
笛が売られており、みんなで買って、行進のときに吹き鳴らします。
黒色が、反政府グループのトレードマークの色です。いろんな柄のシャツが売られていました。
広場でキャンプするひとたちは、一般の人たちで、家族連れも多いです。お坊さんもいました。
まったく新聞が書き立てるような「危険」な感じはありません。ここに集まっているひとたちは、「まったく普通の」一般市民のひとたちで、平和を願い、国王を尊敬しています。今回バンコクで出会った人たちは、みなさん、現在の政府を批判しています。
ただし、ひとつだけ気になることがあります。下記の写真(シャツの内容)を御覧ください。
1月13日にみんなでバンコクの街を止めようという計画があります。これは、反政府の人たちの意思を伝えるために行なうものだとのことですが、主要な20箇所の交差点を封鎖する計画なのだそうです。この日だけはバンコクには行かないほうがよいでしょう。市内が全面で大渋滞になり、いつ目的基地に到着するかわからないです。(でも、バンコクはスカイトレンBTSや地下鉄、そして船での移動が発達しているので、都市機能が麻痺するとは思えません)
そして、その行動を抑止するために政府が強硬な手段をとるとケンカになります。それが一番避けたいことですね。
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私達CECが行っているアユタヤ付近(バンコクから120km北)での孤児スクールボランティアプログラムは引き続き行います。
空港からバンコクのデモの地域は一切通過せずにアユタヤまで向かいますので、このデモがプログラムに影響を及ぼすことは現在では考えられません。もちろん、状況は日々変化しているので、その時に応じて対処していくことになります。
昼間30度を越える暑さをじっと耐えてキャンプを続け、現政府の対応を批判するという市民が多くいるということが日本では考えられないことでした。国を良くするために本気で集まっている国民の熱い姿勢を感じました。
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■ タイの政治混乱その背景
今回のデモの発端はなんだったのか、反政府寄りの人が唱える書き方で、簡単に説明します。
タクシン首相(当時)一族は自分たち親族ばかりに利益が生まれる仕組みを作っていたために、2006年9月に軍がクーデターでタクシン氏を追放しました。しかし、07年の総選挙では(お金をばらまいて票を操作したとされる)タクシン派が勝利。
裕福なタクシン一族は、(特に東北部の農民や都市の貧困層にお金をばらまき)その票を得ているのです。
現首相のインラック氏はタクシン元首相の妹です。そして、最近、国外に追放されているタクシン氏を国に呼び戻すための恩赦をすると発表したために、一部の市民が声をあげて抗議しているということです。
インラック氏は、それならもう一度選挙しましょうと言ったのですが、反政府の人たちからしたら、選挙になれば、また、お金をばらまいて、票を買い取る彼らが勝ってしまうので、それは駄目だと突っぱねました。
インラック首相は2日のテレビ演説で「建設的で参加型の解決策を提案したい」と、「政治改革会議」を創設する方針を表明しました。全政党、タクシン派、反タクシン派双方の運動組織、官民の有識者らが参加するものにしたいと語ったのです。