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大手留学会社倒産に関して
最近の報道にもありますとおり、2010年7月5日に大手留学会社が倒産しました。
同じ分野で仕事をする私たちにとって、驚きと、もって今回の事態を見守っています。私の懇意にしている海外のサポートセンターや、語学学校も、この会社のために不利益をこうむりました。
たまたま倒産した当日、東京にいたものですから、様子を見に行ってきました。以前この会社から学生の方を海外ボランティアとして引き受けていたので、他人事とは思えなかったからです。
ドアには張り紙が一枚張られ、その前で女性二人が呆然と立っていました。とても可哀想でした。
2008年にも大手の留学会社が倒産した際に、ブログに書いたことをここに案内します。
私たちCECは、今回の大手留学会社とはそのシステムや運営形態が違うため、彼らと同じような問題が起きる要素はありません。
今回の大手留学会社が破綻した原因のひとつが資金繰りの悪化だと言われています。会社というものは規模がある程度以上になると、その運営経費をまかなうために銀行からの融資を受けて、大きなお金を回していく必要が出てきます。数多くいるスタッフの人件費、一等地にかまえたオフィスなどの設備投資、留学先現地での経費などが重くのしかかっています。
それらをまかなうために、彼らは大量の広告を打ち、大勢の留学生を集めるビジネスモデルを行ないました。しかし、昨今の少子化や若者の意識の変化により、留学生人口は減少に転じました。すると、払い続けなければならない資金は急速にマイナスになります。業績が悪化すると銀行からの融資も受けることができなくなります。そのことが破綻の大きな原因のひとつでした。
元来、留学手配業務は、一部の留学経験者により小規模で地道に行われていました。その人の貴重な海外体験をもとにアドバイスを行い、留学の手助けをする……そのような家庭的な業務体系が本来の留学手配業務だったと言えるでしょう。私たちCECもそのひとつで、20年前に私と仲間が、自らのイギリスでのボランティア活動体験をもとにしてスタートし、現在までに約2000名のイギリスへの参加者を送り出してきました。
自分達が体験したことを「周りの人たちと共有したい」という思いがあり、その体験をプロとしてお客様に出すことができるまで、現地の受入機関と熱意をもって交渉し、確認したうえで紹介するものだと考えています。
このような仕事は、手広く(大きなビジネスとして)やるべきではないと思うのです。事業を大きくすることは人件費、設備投資などコストの増加を生み、それを回収するためにとにかく送客人数を増やすことを第一優先する……そのように本来の目的とは違った方向でビジネスをせざるを得なくなるからです。
私たちCECは、海外ボランティアと一部の留学のみに特化した特殊な団体ですので、留学希望者の数は毎年それほど変化していません。また、スタッフも少数で、大量の広告を打って留学生を大量に集客するような運営形態ではありませんので、組織の運営資金に関しても、社会事情等による環境の変化に影響を受けにくい体制です。
破綻した、この大手留学代理店で問題となっているのが、先払いした留学費用が会社の運転資金他に流用されてしまい戻ってこなくなったことです。私たちCECは、参加費用の払い込みはご出発直前の1ヶ月前でお願いしています。そのため、参加費用を私たちで長期間お預かりしておくということはなく、その費用もすぐに留学先等必要な場所への支払いとして使われます。留学費用を集めるだけ集めておいて会社を倒産させる…このような事態が起こる土壌はありません。このような点でも、私たちCECはこの大手留学会社とは異なる運営形態をもっています。
もちろん、すべての大手留学会社が今回の会社ような実態ではありません。数年前にも複数の大手留学会社が資金繰りに行き詰った時期がありました。その際、それらの会社は、他の企業や職種が違う業界からの支援を受けて立ち直り、今も安定した運営を続けています。また、収支が合わずに事業を閉鎖しなければいけない場合にも、例えば、大手人材派遣会社の「留学サービスセンター」が8月一杯で留学事業を撤退しましたが、9月から別の大手留学会社に業務が引き継がれています。こちらのほうは大きな混乱は起きませんでした。
まともな企業はそのような努力をしています。
今回の大手留学会社の確信犯的な倒産を見て留学業界全体が「いかがわしい」印象を受けてしまう事がないように切に願っています。
私たちはスタッフが自分の体験をお客様と共有できるから、仕事をしていて楽しいし、良い経験をしてもらいたいから一生懸命になれます。問題になっている大手留学代理店では分厚いマニュアルがあって、社員はそれを丸暗記させられていたそうです。マニュアルの決められた通りに話しをして、留学生を少しでも多く集める…。各カウンセラーも仕事していて楽しいはずはなかったことでしょう。
私たちCECは、自分達が実際にその場にいって体験して、そして感動したことだけを皆さ
んにも体験してもらうことだけを考えています。背伸びをせず、やりたいことだけを思い入れをもってやっていきます。私たちはこの「こだわり」で23年仕事を続けてきました。これからもその姿勢はかわりません。今後とも安心して、私たちCECとおつきあいいただければ幸いです。
CEC代表 池頭稔