参加者レポート
すべてが異文化交流で密度の濃い時間でした
◆参加期間◆
2013年 2月 18日 ~ 3月 4日 20代 女性
◆参加の動機◆
大学で中国語の勉強をしている一方で、国際交流・ボランティアの講義を履修したのをきっかけにボランティアに興味を持ちました。このプログラムは中国語にも触れられて、かつボランティアができるということだったので参加を決めました。
【印象に残ったこと・感動したこと】
まず初めに感じたのは「田舎」ということでした。滞在は現地コーディネーターの王先生のお宅でのホームステイになるのですが、私が到着したのは夜だったため大きな通りから村へ行くための細い道に入った途端、街灯がない真っ暗な道を進みました。車のヘッドライトだけが真っ暗な道を照らしながら王先生のお宅へ行きました。私が村に着いた数日後に、前々から村で決まっていたようで、村の男性たちが協力して街灯を設置する機会に立ち会えました。また、私が滞在した期間は春節をすぎたばかりで、中国国内はお正月休みの最中でした。そのため村の年中行事にも立ち会え、村の人とたくさんふれあえました。
海南島に来る以前に短期留学で天津を訪れたことがありましたが、そのときは学生寮に滞在だったし何より天津という都会地域だったため、今回の海南島の農村地域での滞在はより中国文化をじかに肌で感じることができる貴重な時間となりました。王先生のお宅で家族の人と生活をともにするのも、村の中で村民とふれあうのも、ちょっと遠出をして博鳌・琼海市内を観光するのも、すべてが異文化交流で密度の濃い時間でした。
【大変だったこと】
幼稚園や小学校で日本語を教えるにしても継続的に日本語ボランティアがやってくるわけではないので教えたところで彼らは忘れてしまいあまり意味がないことを知らされて、いかに具体的な考えがなかったかに気づきました。
王先生が今まで参加された方々を例として挙げてお話をしてくださって、それを聞いているとみなさま具体的にやりたいことがあってそれを実現させに来ているという印象を受けて、ただただ感銘を受けました。滞在地の仙窟村は貧困地域とはまったくかけ離れた地域で、ボランティアがいなくても十分に生活していけるところだと思います。実際に村の方たちは幸せそうに生活をされていました。そのなかへボランティアとして入っていくのであれば「ちゃんとした意志の下にある具体的な考え」を持っている人こそが有意義に過ごせるのだなと痛感しました。
王先生はそんな私に親身になってアドバイスをくださり、「やりたいことを言ってくれればそれをサポートしますよ」と言ってくださいました。私自身も、「せっかくここまで来ているのだから小さな力でもやれることはやろう」と思ったので、小学校へ行って日本語を教えながら異文化交流をしたいということを話し、滞在の後半は小学校へ行かせていただくことになりました。
【楽しかったこと】
私が滞在した期間はなにかと村の行事がありました。先にも書いたように街灯の設置があったり、旧暦正月十二の日に村のご先祖様をまつる儀式のようなものがあったり、元宵节があったりなにかといい意味であわただしかったです。そのたびに村の方たちと交流して中国文化、中国の地方文化に触れられたので本当に楽しかったです。王先生が連れて行ってくれた博鳌と琼海の観光は村とはまたちがう海南島のいいところを味わえました。 リゾート地というだけあり海が広がっていてとても気持ちがよかったです。滞在期間2週間のうちのちょうど真ん中くらい位に行ったので、いいリフレッシュにもなりました。
そして、やはり子どもたちとのふれあいはなによりも楽しかったです。はじめの1週間はまだ正月休み中で学校が始まっていなかったので、王先生が近所の子どもたちを集めて機会を作ってくださいました。そこに集まった子たちは幼稚園・小学校低学年くらいの子たちで恥ずかしいのか、初めなかなか話をしてくれず、私が中国語で話しかけるとなぜか自分たちだけでげらげら笑いだして、私の中国語が間違っているのかと不安に感じさせるほどでした。しかし一緒にぎゃーぎゃー騒いでいるうちに次第に慣れてきてくれて私を「日本老师」としたってくれました。
2週間目に小学校へ行きはじめ、そこではもう少し大きい小学校4年生の子たちとたくさんふれあいました。それくらいの年齢の子になると逆にみんなが私に興味を持ってくれて、進んでお話をしてくれて、たくさん面倒をみてもらいました。(笑)ありがたいことに女の子たちは特に私を好いてくれて「このお花は○○っていうんだよ」、「これ(植物の根っこ)噛んでみて!甘い味がするから」、「このお菓子あげるよ」、「これは日本にもある?日本語ではなんていうの?」、「ヘビは見たことある?見せに連れてってあげる」などと私にいろいろ話しかけながら校内を案内したり、一緒に遊んでくれたりしました。あとから王先生に聞いたら、彼女たちは以前のボランティア参加者の方と交流をしたことがある子たちのようで、慣れているのかもしれないとのことでした。ありがたかったです。 私もせっかく日本人という外国人がやってきているのだから彼女らにとってもいい経験になるよう、そして少しでも日本に興味を持ってもらうきっかけになればと思い、日本から持って行った折り紙を教えてあげました。異文化交流のときのあるあるかもしれませんが、折り紙は本当に使えます!折り方のバリエーションは多ければ多いほど喜んでくれます。喜ぶ率100%です。簡単だけどとっても有用だと実感しました。日本の文化を上手く伝えられたかはわからないけれど、子どもたちが私とふれあったことで日本に興味を持ち日本を好きになってくれたらどんなに素敵なことかと思いながら、一緒に騒いで楽しみました。
【持ち物について】
日本の遊び道具や鬼ごっこ、缶けりなどの遊び方法を紹介、説明できるものがあるといいと思いました。相手が子どもであれば間違いなく遊びでコミュニケーションが取れるので日本にはこんな遊びがあるんだよというのを用意していくと、存分に異文化交流ができると思います。お菓子を持って行ってもいいかと思います。他には日本を紹介するのにカメラや携帯電話の画像を見せるととても興味を示してくれて、また自分も紹介しやすいのでいいコミュニケーションツールの一つになりました。
日によっては日差しが強いので帽子と日焼け止めがあるほうがいいのと、田舎なのでやはり虫刺されには気を付けるべきということでそのクスリがあるといざというとき安心です。
中国はポイ捨てされたゴミが結構あります。村の中も道を歩いていたらゴミがよく落ちています。もし、軍手やトングを持っていったらゴミ拾いなど環境保全のボランティアができて、自分にできることの幅がまた広がったかもしれないなと思います。
【現地での服装について】
緯度が低い海南島ですが、私が滞在した2月後半はまだまだ涼しいです。夜に関しては長袖長ズボンでいるべきでした。しかし、よく晴れた日になると日の強さが日本で感じるものとは違って知らない間に日焼けをしてしまうこともあったのでなるべく肌を出さない格好のほうがよさそうでした。もちろん暑いときは暑いので半袖Tシャツもあるべきです。適宜、温度調節ができるよう来たり脱いだりできる上着があるのがベストだと思います。また、寒いわけではないので蚊などの虫は普通にいます。虫刺されから守れる服装も考慮したほうがいいかと思います。
【現地の物価】
1枚3.8元で絵はがきを日本国内の家族友人に送りました。日本以外の国でも国際便の絵はがきはすべて3.8元だそうです。あと60元で長ズボンを1本買いました。基本的に買い物はあまりしなかったのであまりわかりません。物価は日本よりは間違いなく安いです。
【コミュニケーション手段(言葉の問題など)について】
中国語を勉強してまだ2年しか経っていない私にとって、聞き取るのになまりがあるのは難しいです。だけど「へ?」と聞き返してわからない態度を取れば相手は人間なので改めて言ってくれたり、ゆっくり話してくれたりします。王先生が日本語を話せるのはとても救いです。また、私が滞在したとき、日本語がペラペラな王先生の娘さんがちょうど帰省されていたのでとても力になっていただき本当に助かってありがたかったです。
ちなみに海南語は中国語の標準語とまったくちがう言葉なので、教えてもらわない限り何もわかりません。
【ステイ先の情報・感想】
部屋を一部屋用意してもらえました。ベッドが1台、学習机のようなデスク、椅子、机、洋服かけがあります。また部屋の中に、バスルームがあってシャワー、トイレ、洗面台があります。部屋の窓からは裏で飼っている鶏がよく見えます。毎朝彼らの鳴き声がまるで漫画のように「コっケコッコー」とよく聞こえておもしろいです。
王先生のお母さんである奶奶と王先生の奥様、岑先生とそのお母さんである阿婆の4人で住んでいらっしゃいます。岑先生や阿婆がご飯を用意してくれて、毎回「吃饭!」と呼んでくれて、家族全員で食卓を囲むのでとても和やかでした。
岑先生は時折、お仕事で家を空けるのでそのときは王先生とおばあちゃん二人でのんびりご飯を食べました。いつも「慢慢吃」と食事をすすめてくれて中国人らしい温かみを感じることができてとてもほっこりします。居間へ行くとおばあちゃん二人がよくテレビを見ているので一緒に見て自分の中国語の耳を鍛えました。現地へ行く前も知らされていましたが本当にゆっくりとした時間が流れていて、のんびり過ごせる快適な場所でした。田舎なのでもちろん虫はたくさんいますが、特に危害を与えるような虫には遭いませんでした。コンセントにさす蚊取り線香も用意をしてくれていたので問題なく過ごせました。
【派遣(ボランティア)先について】
本来ここがメインであるべきですが、すでに先に書いてしまいました。主には家の近所で子どもたちと一緒に遊んで楽しんだり、小学校へ行って異文化交流をしたりしました。また、街灯の設置のときは地中に電線を埋める作業をお手伝いさせてもらいました。
【やってみたかった事・やり残した事】
これも先に書きましたが、環境保全としてゴミ拾いをしたかったです。正直中国の道はきたないです。捨てる人がいなくならない限り、ただ拾っただけでは意味がないけど、例えば子どもたちと一緒にゴミ拾いをしてポイ捨てはいけないんだよということを話しながらやっていたら何か違ったかもと思ったりもしました。
また私は時間が足りないと思い、三亜への旅行は行きませんでした。次に海南へ行くときはぜひ三亜へも訪れたいと思いました。
【その他、自由にご記入ください】
初めてのボランティアではじめは何をしたらいいのかわからなかったし、現地に来たはいいけど私はちゃんと役に立てているのかと疑問に感じたり悩んだりしました。
具体的に「こういうふうにして日本語を教えたい!」とか「こうやって中国人と交流を図って仲良くなりたい!」いう考えを準備していなかった私にとって「日本語ボランティア」とはいったい何をするべきものなのかわからなかったし、そもそもボランティアって何のためにするべきものなのだろう?とか、いろいろと考えてしまうこともありました。この海南島でのプログラムを通して、自分が未熟で考えが浅い人間だという自覚があったものの、それを身に染みて実感することになりました。しかしそんな中で自分でもできる何かを考えて、行動に移していくことが大切なことだと自分なりに会得した一番大きなものだと思っています。
もちろん中国人の生活を体験したり、現地の人と触れ合ったりして異文化交流をしたことや中国・海南の子どもたちと一緒に遊んで心からふれあうことで温かい気持ちになれたことはとても貴重な経験で、思い出と一緒に私の中に積み重ねられていくと思います。しかしそれだけではなく、壁にぶつかったときに自分がどのようにそれを切り抜けていくか、「考えて行動する力」もあわせて成長できました。自分自身で考えた結果、王先生に自分の意思を伝えることができたしその後の小学校の活動に取り組むことができました。今ふりかえると、それらはすべて王先生がアドバイスやサポートをくれて力を貸してくれたからだと思います。
今回初めての一人海外でドキドキしたけど、一人だからこそ自分で切り抜けられる何かを考えたし、自分の考えをまとめる機会や時間もたくさんありました。王先生の助けと合わせて、結果的にすべ自分を成長させてくれるような素晴らしい、素敵な経験をさせてもらいました。とても感謝をしています。
いずれにしても、海南島へ行ったからこそ得られたものや理解できたものは本当にとてもたくさんあります。海南島へ行かなかったら経験できなかったと思うと、行ってよかったなと心から思います。このような機会を提供してくれたCECの方々にも感謝します。ありがとうございました。